TEL03-6746-2010受付時間 平日10:00~18:00

カスタマーサクセス代行支援

更新日:2025年09月30日

カスタマーサクセス継続率向上の実践手法|効果的な改善方法を解説

カスタマーサクセス継続率向上の実践手法|効果的な改善方法を解説

カスタマーサクセスを導入したものの、期待した継続率向上につながらない企業が増えています。

「オンボーディングは完了しているのに解約が止まらない」「施策を打っても数字が改善しない」といった悩みを抱える担当者の方も多いのではないでしょうか。

継続率向上には、単発的な施策ではなく、“顧客の成功体験を生み出す仕組み”の構築が不可欠です。
本記事では、実際の事例から学んだ改善ポイントと、営業代行支援を通じて蓄積したノウハウをお伝えします。

カスタマーサクセスの継続率向上でお困りの方へ

オンボーディング後の解約が止まらない、施策を打っても数字が改善しない、顧客の成功体験を創出する仕組みづくりに課題を感じている企業様は、ぜひお問い合わせください。『セイヤク』では、継続率向上に特化したカスタマーサクセス代行支援が可能です。

お問い合わせ

目次
継続率低下の本当の原因とは
継続率向上に失敗する企業の共通パターン
継続率を向上させる5つの施策
業界別|継続率向上の成功事例と改善データ
継続率向上のためのKPI設計と測定方法
よくある質問(FAQ)
まとめ

継続率低下の本当の原因とは

継続率が上がらない最大の理由は“顧客が本当に求めている成果を提供できていない”ことにあります。

多くの企業では、ツールの使い方を教えることや機能説明に力を入れがちです。
しかし、顧客が本当に知りたいのは「このサービスを使って、自分のビジネスにどんな具体的なメリットがあるのか」ということ。

オンボーディングを完了しても、実際の業務改善や売上向上に繋がらなければ、顧客にとってそのサービスは「あってもなくても変わらないもの」になってしまうのです。

加えて、初期設定が終わった途端にサポートが薄くなることも大きな問題といえます。

導入直後は手厚くフォローしても、その後は定期的な連絡もなく、顧客の状況変化に気づけない。
気がついたときには、顧客は既に他のソリューションを検討している状態になっているケースも珍しくありません。

そして見逃せないのが、市場環境の劇的な変化です。

SaaS市場の急拡大により、顧客の選択肢は以前とは比較にならないほど豊富になりました。

乗り換えのハードルも下がり、「今のサービスに少しでも不満があるなら、もっと良いものを探してみよう」という顧客心理が働きやすい環境になっています。
つまり、「現状維持」ではなく「常に改善」を求められる時代に変わったということです。

継続率向上に失敗する企業の共通パターン

継続率改善に取り組む企業の多くが陥る「よくある失敗パターン」があります。

これらを事前に把握することで、効果的なアプローチを選択しましょう。

データよりも感覚を優先してしまう

最も多いのが、データではなく感覚に頼った判断をしてしまうケースです。
「最近解約が多い気がする」という印象だけで対策を講じても、実際には全く異なる課題が潜んでいる可能性があります。

例えば、解約が多いと感じていたのに、実際にデータを分析してみると解約率は平年並みで、本当の問題は新規獲得の低下だったというケースも少なくありません。

表面的な対処療法に終始してしまう

解約という「症状」に対して表面的な対処療法ばかりを繰り返す企業も目立ちます。

カスタマーサクセスを健康管理に例えるなら、症状だけを見て根本治療をしない状態です。

解約が起きたら慰留施策、アンケート結果が悪かったら改善施策、といった場当たり的な対応では、根本的な解決には繋がりません。

ナレッジが個人に留まってしまう

貴重なナレッジが個人の中に留まってしまうというケースも深刻です。

「あの顧客はこんな理由で解約した」「この方法で継続率が改善した」といった重要な情報が担当者個人の経験で終わってしまいます。

その結果、新しいメンバーが同じ失敗を繰り返したり、成功パターンを再現できなかったりするケースが頻発します。

短期的な成果ばかりを追い求める

短期的な成果ばかりを追い求めた結果、継続率向上に失敗してしまうという企業も少なくありません。

継続率の改善は、本来なら数ヶ月から数年かけて積み上げていくものです。

しかし、四半期の数字を気にして「すぐに効果が出る施策」ばかりに目を向けていると、結果的に根本的な改善から遠ざかってしまうことになります。

継続率を向上させる5つの施策

継続率を向上させるには、どのような施策を打てば良いのでしょうか。

このセクションでは、営業代行支援を通じて検証した、継続率向上に直結する具体的な施策をご紹介します。

1. 顧客セグメンテーションによる個別最適化

継続率向上の基盤となるのが、顧客セグメントごとの最適なサポート設計です。

顧客の業界、企業規模、利用目的、成熟度に応じてサポートの頻度や内容をカスタマイズすることで、顧客の成功体験を効果的に創出できます。

具体的には、顧客を「初期導入期」「活用拡大期」「成熟期」の3段階に分類し、各段階に応じたコミュニケーションを実施しましょう。

初期導入期は週1回のフォロー、活用拡大期は月2回のチェックイン、成熟期は四半期ごとのビジネスレビューというように、顧客の状況に合わせたサポートを提供することで顧客に合わせた支援を実現できます。

2. 顧客ヘルススコアによるデータドリブンアプローチ

継続率改善には、顧客の健康状態を数値化し、リスクの早期発見と介入を行うことが不可欠です。

ログイン頻度、機能利用率、サポート問い合わせ頻度、NPSスコアなどの指標を統合し、顧客ヘルススコアとして可視化しましょう。

スコアが一定の数値を下回った顧客に対して、自動的にアラートが発生し、担当者が迅速にフォローアップできる仕組みを構築すれば、効率的に解約を防止することができます。

3. オンボーディング最適化による早期定着支援

継続率を向上させるためには、顧客の初期体験を最適化し、サービス利用の定着を促進することが大切です。

実際に多くのサービスで、導入から最初の数ヶ月間で成果を実感できるかどうかが、その後の継続利用に大きく影響しています。

オンボーディング最適化では、顧客の業界特性や利用目的に応じカスタマイズされた導入支援を提供することを心がけましょう。

単なる機能説明にとどまらず、「どのような成果を期待しているか」「どのタイミングで効果測定を行うか」を明確にし、顧客の成功体験を早期に創出する仕組みづくりが求められます。

4. 解約予兆の早期検知システム

顧客の利用状況や満足度指標を継続的にモニタリングすることで解約リスクの高い顧客を早期に特定し、問題が深刻化する前に適切な介入を行うことが可能になります。

解約予兆の検知には、ログイン頻度の低下、機能利用率の減少、サポート問い合わせの増加などの定量指標と、定期的な満足度調査やNPSスコアなどの定性指標を組み合わせることが効果的です。

これらのデータを統合的に分析することで、解約リスクを数値化し、優先順位をつけたフォローアップが実現できます。

5. アップセル・クロスセル戦略による価値提供拡大

既存顧客の成功体験を拡大し、より多くの価値を提供することで、継続利用の動機を強化します。

顧客の成長段階に応じた提案を行うことで、解約リスクを下げながらLTVの向上も実現できるでしょう。

アップセル・クロスセル戦略では、顧客の利用状況や成果指標を基に、最適なタイミングでの提案を行うことが重要です。

「成功している顧客にはより上位プランを」「特定機能を活用している顧客には関連サービスを」といったように、顧客の状況に応じたパーソナライズされた提案により、自然な形での価値提供拡大が可能になります。

業界別|継続率向上の成功事例と改善データ

『セイヤク』では、さまざまな業種のカスタマーサクセス代行を行っています。

このセクションでは、実際に継続率改善を実現した企業の事例を具体的な数値とともに紹介。業界特有の課題と、それに対する効果的なアプローチを詳しく解説します。

人材サービス業界での解約防止・再アクティブ化事例

スキマバイトプラットフォームを運営するA社では、登録済み店舗のフォローに人員が不足し、解約率上昇のリスクに直面していました。

業界特性上、対面でのコミュニケーションが重要視されており、電話やメールだけでは十分な関係構築が難しく、早急に対策を練らなければなりませんでした。

そこで『セイヤク』では、改善施策として、安定した訪問体制を構築し、1人あたり月70件の店舗訪問を実現。

利用停止店舗に対しては個別の課題をヒアリングし、再利用を促進するアプローチを実施しました。

結果として、解約防止と利用促進を実現し、募集職種の拡大にもつながりました。

EC業界での出店者継続支援による売上拡大事例

大手ECモールを運営するB社では、人材不足により出店者支援の量と質が低下し、出店店舗の売上が頭打ちになる課題を抱えていました。

そこで『セイヤク』では、改善に向けて、1人あたり200店舗を担当しながらも成果を維持できる体制を構築。

KPI設計と活動管理により成果を数値化し、成功事例を他の出店者に横展開することで全体の底上げを図りました。

この取り組みにより、売上目標対比で最大120%を達成。さらに、出店者支援の強化によりEC全体の売上拡大に貢献しました。

IT・SaaS業界でのアフターフォロー強化による定着率向上

キャッシュレスサービスを提供するC社では、導入支援からアフターフォローまでの一気通貫対応が人材不足により困難になっていました。

特に導入後のフォロー不足により、せっかく導入いただいた顧客の利用が定着しないという課題も深刻でした。

そこで『セイヤク』では、改善施策として、アポイント獲得から商談、導入支援、その後のフォローまでを一貫して担当する体制を構築。

他案件で得た知見を転用し、地域・業態ごとに最適な提案を実施することで、顧客の成功体験を創出しました。

これらの事例からわかるように、業界特有の課題を正確に把握し、それに応じた継続率向上施策を体系的に実施することで、顧客の長期利用促進が可能になります。

重要なのは、単発的な施策ではなく、顧客の成功体験を継続的に創出する仕組みづくりに取り組むことです。

その他の事例はこちらからご覧いただけます。
カスタマーサクセス事例集

継続率向上のためのKPI設計と測定方法

継続率向上を確実に実現するには、適切なKPI設計と継続的な測定が欠かせません。

「何を」「いつ」「どう測るか」を明確にすることで、改善活動の精度を高められます。

以下は、カスタマーサクセスのKPI項目と計算式、測定頻度の一例です。

KPI項目 計算式 測定頻度
チャーンレート 解約数÷全体の顧客数 月次
オンボーディング完了率 完了企業÷期間中の全企業 週次
アップセル率 成功数量÷顧客全体数量 四半期
NPS 推奨者割合-批判者割合 四半期

このセクションでは、カスタマーサクセスの代表的なKPIを解説します。

継続率に直結する主要KPI

継続率に直結するKPIとして、まず重要なのがチャーンレート(解約率)です。

これには顧客数ベースのカスタマーチャーンレートと、売上額ベースのレベニューチャーンレートの2つの視点があります。

カスタマーチャーンレートは「計測期間内の解約数÷計測期間内の全体の顧客数」、レベニューチャーンレートは「(商品単価×解約数)÷全体の売上」で算出されます。

先行指標としてのオンボーディング完了率

次に重要なのが、オンボーディング完了率です。

これは「オンボーディング完了企業÷オンボーディング期間中の全企業」で測定し、顧客の初期定着状況を把握する指標として活用します。

オンボーディングが完了していない企業は、他社への流出や早期解約の恐れがある危険な状態といえるでしょう。

収益拡大指標としてのアップセル・クロスセル率

アップセル率・クロスセル率も継続率向上の重要な指標です。

アップセル率は「アップセルに成功した数量÷顧客全体の数量」、クロスセル率は「クロスセルに成功した数量÷顧客全体の数量」で算出され、既存顧客との取引拡大による継続意欲の向上を測定できます。

顧客満足度指標としてのNPS測定

NPS(ネットプロモータースコア)による顧客ロイヤルティの測定も欠かせません。

「推奨者の割合(%)」から「批判者の割合(%)」を引いた数値で算出され、顧客の継続利用意向を定量的に把握できます。

効果的な測定タイミングと分析方法

測定タイミングについては、チャーンレートは月次、オンボーディング完了率は週次、NPSは四半期ごとの測定が効果的とされています。

重要なのは、これらの指標を単独で見るのではなく、相互の関連性を分析し、継続率向上に向けた総合的な改善アクションに繋げることです。

カスタマーサクセスのKPIについてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

カスタマーサクセスのKPI|KPIの種類と達成のポイントを解説

よくある質問(FAQ)

継続率向上に取り組む企業からよく寄せられる疑問にお答えします。

Q1. 小規模チームでも継続率向上は可能ですか?

A.はい、可能です。

まずは優先度の高い顧客セグメントだけに支援を集中し、「小さく始めて大きく育てる」アプローチが有効といえるでしょう。

小規模チームの場合、すべての顧客に同じレベルの支援を提供することは現実的ではありません。

そこで重要になるのが、LTVや契約金額、解約リスクなどを基準とした顧客セグメンテーションです。

最も重要な顧客層に対してハイタッチでの支援を行い、その他の顧客にはテックタッチやロータッチでの効率的なアプローチを採用することで、限られたリソースでも効果的な継続率向上が実現できます。

Q2. オンボーディング完了後も解約が多いのはなぜですか?

A.オンボーディング完了は継続利用のスタート地点に過ぎず、その後の継続的な価値提供が不十分な場合に解約が発生します。

多くの企業では、オンボーディングを「製品の使い方を覚えてもらう」ことと捉えがちですが、真の目的は「顧客が期待する成果を出せるようになる」ことです。

製品を使えるようになっても、実際のビジネス成果に繋がらなければ、顧客は継続利用の価値を感じられません。

オンボーディング後も定期的な成果確認、追加機能の提案、業界動向の共有など、継続的な価値提供を行うことが重要です。

Q3. 継続率向上の効果が出るまでの期間はどのくらいですか?

A.一般的には3~6ヶ月程度で初期効果が現れ始め、本格的な改善効果を実感できるのは6~12ヶ月後とされています。

ただし、効果の現れ方は業界や商材特性によって大きく異なります。

SaaS系のサービスでは比較的早期に効果が現れやすい一方、年間契約が主流の業界では効果測定に時間を要する場合があります。

重要なのは、短期的な数値変動に一喜一憂せず、中長期的な視点で継続的な改善に取り組むことです。

初期段階では先行指標(オンボーディング完了率、NPS等)の改善に注目し、遅行指標(チャーンレート)の変化を待ちましょう。

まとめ

カスタマーサクセスにおける継続率向上は、単なる解約防止施策ではなく、顧客の成功体験を継続的に創出する総合的な取り組みです。

継続率低下の根本原因は顧客の成功体験が創出されていないことにあり、データに基づかない感覚的な判断や表面的な対症療法といった失敗パターンを回避することが重要です。

顧客セグメンテーション、ヘルススコア管理、プロアクティブなコミュニケーション、成功体験の可視化、アップセル・クロスセル戦略の5つの施策を体系的に実践し、業界特性に応じた個別最適化を行うことで、継続率の大幅な改善が可能になります。

また、チャーンレート、オンボーディング完了率、アップセル率、NPSなどの適切なKPI設計により、継続率向上の取り組みを定量的に管理し、継続的な改善サイクルを構築することで、持続可能な成果を実現できるでしょう。

こちらの記事もおすすめ

一覧へ戻る